PQQコラム

【研究紹介】卵活とミトコンドリア~質の良い成熟卵を得るためにPQQができること

ミトコンドリアを活性化するBioPQQ®は、私たちの健康をさまざまな面からサポートしてくれます。
これまで、脳機能の維持や脂肪の蓄積の抑制など、主に中高年を対象とした効果を紹介してきましたが、本記事では妊娠を望む女性に向けて近年明らかとなったBioPQQ®に関する研究を紹介していきます。

※本コラムの内容は、広島大学(島田教授)とロート製薬株式会社との共同研究に基づいており、両者の特許共同出願の請求範囲を含んでいます。

排卵が起こるために必要なこと

女性の卵巣の中では、排卵のその時を待つ卵子がたくさん眠っています。
卵巣の卵子たちは、ひとつひとつがいく種類かの細胞に包まれて、守られ、栄養を与えられて休眠しています。
この卵子と卵子を包む細胞の集まりを「卵胞」と呼びます。

卵胞は図1のように段階を経て発育していき、ヒトの場合、卵胞が直径20mmくらいになると排卵が起こります。

卵胞は、卵のほかに2種類の細胞「顆粒膜細胞」と「莢膜細胞」から構成されています。
図1で卵胞の内側の膜を作っているのが顆粒膜細胞です。
排卵が起こるためには、顆粒膜細胞が増殖して卵胞がしっかりと大きく育ち、排卵を促す脳からの信号をキャッチできるようにならなければなりません。

顆粒膜細胞が増殖するには、エネルギーが必要です。
私たちがご飯を食べないと成長できないのと同じで、細胞もエネルギーがなければ増えることができないのです。
顆粒膜細胞にエネルギーを供給するのがミトコンドリアです。
赤血球を除くほぼ全部の細胞に存在するミトコンドリアは、妊娠に至るプロセスにおいても重要な役割を果たしています。

ところが、ミトコンドリアがエネルギーを作るときには、どうしても副産物として「活性酸素」ができてしまいます。
活性酸素は体内に侵入した細菌などから身体を守ってくれる一方で、細胞の中にある大事なタンパク質や核酸などを酸化してダメージを与えてしまう厄介な物質です。

活性酸素による細胞へのダメージは、卵胞が発育を停めてしまう「卵胞閉鎖」の原因になると考えられています。

発育を止めてしまった卵胞は、もう排卵に至ることができません。そのまま消失してしまいます。
妊娠に向けた最初のプロセスである排卵を起こし、質の良い卵を得るためには、活性酸素を除去することが重要なのです。

卵胞の発育をサポートするPQQの4つの効果

PQQは、ミトコンドリアを活性化するだけでなく、活性酸素を除去する「抗酸化作用」も持っています。
広島大学大学院統合生命科学研究科の島田昌之教授は、これらの作用に着目し、BioPQQ®が卵胞の発育に与える影響をマウスで研究しました。

その結果、PQQは以下に紹介する4つの面から卵胞の発育をサポートすることが分かりました。

PQQの効果1:顆粒膜細胞の増殖を促進

顆粒膜細胞が増殖し、卵胞が大きく育つためには、ミトコンドリアのエネルギーが必要です。
島田教授はマウスにPQQを摂取させ、顆粒細胞の増殖にどのような影響があるのかを調べました。

まず、若い雌のマウスに、PQQを飲み水に溶かして摂取させたあと、排卵誘発剤(eCG)を投与しました。
排卵誘発剤を投与すると卵胞の発育が促進され、顆粒膜細胞の増殖がはじまります。

時間を追って観察すると、PQQを摂取したマウスはPQQを摂取していないマウスに比べて、顆粒膜細胞の中にたまっていく活性酸素の量が少なく抑えられていることが分かりました(図2)。

また、ミトコンドリアの活性が高まっていることも確かめられました(図3)。

これらの結果から、PQQはミトコンドリアを活性化させるだけでなく、卵胞閉鎖の原因となる活性酸素を減らすことが示されました。

PQQの効果2:卵胞の発育を促進

島田教授は、さらに卵胞の発育についても調べました。

マウスにPQQを投与してから48時間後に排卵誘発剤を投与する実験を行ったところ、PQQを投与したマウスは、投与しなかったマウスに比べて、卵胞がよく育ち、成熟卵胞(排卵前卵胞)が多くできていることが分かりました。(図4)

排卵誘発剤はより多くの卵胞を正常に発達させるために使われますが、PQQは排卵誘発剤の効果を増強することが分かりました。

PQQの効果3:酸化ストレスを抑えて卵胞閉鎖を減らす

島田教授の研究では卵巣の状態についても詳しく調べています。

卵胞の酸化ストレスを調べる試薬を用いて排卵誘発剤投与48時間後の卵巣を染めると、大きくなった卵胞の周辺が濃く染まることが分かりました。
顆粒膜細胞が増殖するときにミトコンドリアが活動して活性酸素が出るため、それが細胞を傷つけ、一部の卵胞を閉鎖する原因になっていると考えられます。

次に、PQQを与えていないマウスの卵巣とPQQを与えてから排卵誘発剤を投与したマウスの卵巣を比べてみました。

すると、PQQを与えなかったマウスの卵巣には、酸化ストレスを受けて細胞が傷つき、閉鎖してしまった卵胞が多数ありましたが、PQQを与えたマウスの卵巣は、酸化ストレスを受けた箇所が少なく、閉鎖卵胞はほとんど見られませんでした。
PQQの働きで活性酸素のダメージが抑えられ、ほとんどの卵胞が発育途中で止まることなく成熟できたと考えられます。

PQQの効果4:正常な卵子の排卵数を増やす

ここまでの結果でPQQは顆粒膜細胞の増殖をサポートし、卵胞の生育を助けることが分かりました。
これらの効果により、実際に排出される卵の数はどう影響するのでしょうか。

マウスは1回の排卵において通常約10個の卵を排出しますが、排卵誘発剤を用いた場合では、40個ほどに増加することが分かっています。

ところが、PQQを飲み水に混ぜて与えたうえで排卵誘発剤を投与した場合は、PQQを投与しない場合と比べて1.5倍(約60個)もの卵を取ることができました。

もっとも、いくら卵の数が増えたといっても、卵の質がよくなければ意味がありません。
そこで、正常な機能を持った卵であることを確かめるために、その卵を使って体外受精を行ったところ、無事に正常な子マウスが生まれました。

この実験により、排卵誘発剤で卵巣を刺激する際に、あらかじめPQQを投与しておくと、より多くの卵が得られ、それらは正常に受精し、子マウスに成長する力を備えていることが確認されました

PQQへの期待―ヒトの高度生殖補助医療をサポートできる可能性

今回紹介したのは、すべて若いマウスでの結果です。
しかし、島田教授は卵巣が加齢化したマウスにおいても、PQQを摂取することによって、妊娠するために必要な能力(妊孕力)が回復することを確かめています。

島田教授の研究結果は、動物実験の結果ではあるものの、PQQがヒトの高度生殖補助医療をサポートする可能性を示す有力な証拠を提供するもので、さらなる研究の発展が期待されます。

生命活動に重要な役割を担うミトコンドリア。その働きを活性化するBioPQQ®ができることは、多岐にわたります。
このコラムでは引き続き、PQQやミトコンドリアの最新情報についてお届けしていきます。

参考

第37回日本受精着床学会総会・学術講演会 ロート製薬株式会社共催 ランチョンセミナー5(2019年8月1日開催)

第39回日本受精着床学会総会・学術講演会 ロート製薬株式会社共催 スポンサードセミナー8(2021年7月16日開催)

Hoque SAM, Umehara T, Kawai T, Shimada M. Adverse effect of superoxide-induced mitochondrial damage in granulosa cells on follicular development in mouse ovaries. Free Radic Biol Med. 2021 Feb 1;163:344-355.

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