PQQコラム

【インタビュー】BioPQQ®開発の舞台裏確かな技術力で高品質な食品素材を開発

ピロロキノリンキノン(PQQ)は、酵素の働きを助ける補酵素です。
三菱ガス化学は他社に先駆けて高純度なPQQを生成する技術を確立し、PQQを安全な食品素材として開発することに成功しました。
三菱ガス化学の開発したPQQは「BioPQQ®/MGCPQQ®」という名前で、欧米や日本のサプリメント原料に採用されています(参考:BioPQQ®とは?各国の認証を取得している健康食品素材)。

このコラムでは、研究員にインタビューし、PQQのリーディングカンパニーとしてBioPQQ®のポテンシャルを長年追求し続けてきた三菱ガス化学の強みを紹介します。

BioPQQ®の機能を確かな研究で明らかにする

私たちの体には、さまざまな酵素が働いています。酵素は、生命活動に必要な化学反応を促進する役割を果たします。
しかし、酵素の中には単独では働くことができず、酵素の作用を助ける補酵素が必要なものがあります。
補酵素という言葉はあまり耳にすることはないと思いますが、ビタミンB2、ビタミンB12、葉酸、コエンザイムQ10も補酵素の一種です。

PQQも補酵素で、ミトコンドリアの働きを助けます。PQQは、食物にも含まれていますが、その量はごくわずかです(参考:体内で作り出せない重要な栄養素「PQQ」の役割とは)。

そこで、三菱ガス化学はPQQを独自の発酵技術により生産する研究を行い、高純度で安全な食品素材「BioPQQ®」を生み出しました。

以来、三菱ガス化学では、PQQのリーディングカンパニーとして、「BioPQQ®」にどのような機能があるのかを研究を続け、その成果を学術論文に発表してきました。

BioPQQ®は新潟研究所で研究開発が行われています

これまでの研究から明らかになったPQQの機能には、次のようなものがあります。

この中でも、現在、最もよく知られている機能は、脳の認知機能に対する効果です。
BioPQQ®が神経細胞や脳の働きに与える影響については、基礎研究から臨床研究まで、多くのエビデンスが蓄積されています1)
三菱ガス化学では細胞試験や動物試験だけでなく、中高齢者を対象にした臨床試験も行い、BioPQQ®を摂取した40-60代の試験参加者のワーキングメモリや注意力を測定するテストの成績が向上したことを確認しています2)

2020年にはBioPQQ®を使った製品の機能性表示食品の届け出が受理され、「本品はピロロキノリンキノン二ナトリウム塩を含んでいます。
ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩は、健康な中高齢者に対して、認識能力の一部である注意力及びワーキングメモリ(得られた視覚情報を短時間で認識し、同時に正しく処理し行動に移す能力)の維持に役立つことが報告されています。」と明記できるようになりました3)

現在、三菱ガス化学では、中高齢者だけでなく、若い人の認知機能に対する効果についても研究を進めています。

三菱ガス化学製 BioPQQ®サプリ。最終製品のイメージサンプル用の非売品。

ミジンコからシミュレーションまで あらゆる手法で機能を探求する

辻シャフィカ研究員は、マレーシア出身。大学はアメリカに留学し、日本で博士の学位を取得した後、三菱ガス化学に入社しました。入社時からBioPQQ®の研究開発に携わっています。

BioPQQ®の魅力を語る、辻研究員

全身の細胞に存在するミトコンドリアを活性化するBioPQQ®は、脳以外の臓器にも影響を及ぼすはずです。BioPQQ®の研究グループは、論文やPQQに似た物質の性質などを手がかりに、BioPQQ®のさらなる機能を探し求めました。
その中で候補に挙がったのが、肥満の原因となる脂肪に対する効果でした。

ミトコンドリアは糖や脂肪からエネルギーを作り出します。BioPQQ®がミトコンドリアを活性化してエネルギーを生成すれば、脂肪蓄積を抑制する可能性があります。

研究用のBioPQQ®の粉末を手に持つ辻研究員

辻研究員は、まず、ミジンコを使って実験をしてみることにしました。
博士課程でミジンコの性別を決定するメカニズムを研究していた辻研究員にとっては、ミジンコは馴染みのある実験動物でした。

「ミジンコの飼育の用意を始めると、一体何が始まるんだろうと周りの人たちは少し驚いていました。これまでにミジンコで実験をしていた人はいなかったからです。
しかし、挑戦を歓迎してくれる社風もあって、信頼して任せていただきました。
ミジンコは体が透明で組織を観察しやすく生育が容易で、マウスよりも早く結果を知ることができます。
ミジンコで体脂肪蓄積が抑制されたのを確かめてからマウスの実験に移ることで、効率よく確実に研究を進めることができました」

実験の結果、BioPQQ®を与えたマウスは、高脂肪のエサを食べているのにもかかわらず、肥満が抑制されました
見た目を比較しただけでも、BioPQQ®を摂取したマウスの脂肪蓄積が抑制されているのは明らかに分かりましたが、辻研究員はさらに、動物用のCTスキャンで体内の脂肪を可視化することに挑戦しました。

「解析が大変でしたが、BioPQQ®の効果を分かりやすく伝えることにこだわって挑戦しました」
辻研究員のこだわりは研究結果を確かなものにしただけでなく、新たな発見をもたらしました。
CTスキャンで測定したことで、BioPQQ®を摂取したマウスは、ただ太らなかっただけでなく、内臓脂肪の蓄積が抑制され、筋肉量が増えていることまで明らかになったのです(参考:【研究紹介】BioPQQ®はマウスの脂肪の蓄積を抑制する)。

BioPQQ®の良さを世界中の人々に知ってほしい

コロナ禍で在宅勤務が多くなったことがきっかけで生まれた研究もあります。
BioPQQ®がネココロナウイルスの細胞感染を抑制することや、そのメカニズムを明らかにした研究です(参考:【研究紹介】BioPQQ®がコロナウイルス感染を防ぐメカニズムを解明)。

「緊急事態宣言の間は家から出られなかったため、実験室で行う研究ができなくなりました。在宅でできることはないかと探す中で、シミュレーション研究が候補に挙がりました。タンパク質の形から結合のしやすさや相互作用を推定するドッキングシミュレーションを行っていくと、コロナウイルスの構造にPQQが作用する可能性が見えてきました」

他の研究員とディスカッションする辻研究員

出勤できるようになると、辻研究員はシミュレーションから得られたデータをもとに細胞実験を行い、その成果を論文で発表しました。このように辻研究員は精力的に研究を進め、その成果をいちはやく論文にして発表しています。

「研究者として研究成果を形にしたいのはもちろんですが、論文にすることでBioPQQ®の良さを世界に発信できると考えています。
さらに、研究者だけでなく、一般の人にももっと知ってもらいたいですね。
現在は、主にサプリメントの原料として使っていただいていますが、BioPQQ®入りのお菓子や飲料が開発されると嬉しいです。新製品開発のための技術的サポートも行っていますので、お気軽にお問合せください」

クライアントが新しい商品を開発する際に確かな技術サポートを提供できるのは、三菱ガス化学の強みのひとつです。
長年研究されてきたBioPQQ®には、安全性や機能に関するデータが数多く蓄積されています。
また、三菱ガス化学には、これまでの研究で築き上げてきた知見と経験があると、辻研究員は強調します。

「ミトコンドリアの働きを改善することで期待できる効果はたくさんあります。
BioPQQ®は可能性に満ちた素材です。これからも研究を続けて、その可能性を見つけていきたいと思います」

研究所の入口で

参考

1) 三嶋 智之、伊佐 保香(2021)ピロロキノリンキノンの認知機能への影響、『ビタミン』95 巻 3 号 p. 85-88 DOI:https://doi.org/10.20632/vso.95.3_85

2) 三菱ガス化学BioPQQ®公式ページ「研究成果

3) 三菱ガス化学プレスリリース「BioPQQ™を機能性関与成分として含有する機能性表示食品の届出が受理されました」2020年5月13日

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