PQQコラム

脳の健康を維持する生活習慣とBioPQQ®の作用

人生100年時代において、自分らしく生き生きとした生活を続けるためには、体だけでなく脳の健康も重要です。
この記事では、脳が活動するために必要な基本的な仕組みを解説し、脳の健康のためには何をすればよいのかをご紹介します。

脳の機能は脳細胞に支えられている

脳は人間にとって、もっとも重要な臓器のひとつです。
記憶や思考のような知的活動はもちろん、情動や運動、外の世界を感じる知覚も脳の役割です。
また、睡眠や呼吸、心拍数の調整といった生命にとって欠かせない働きも担っています。

このような脳の機能を担っているのは、脳細胞です。
脳細胞には情報を伝達するニューロン(神経細胞)と、ニューロンに栄養物質を与えたり神経伝達を調整したりするグリア細胞があります。
グリア細胞は大きく分けて、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアの3種類に分類されます。

大人の脳は、1000億個以上のニューロンと、その10倍以上のグリア細胞から成り立っていると考えられています1)
これらの脳細胞が何らかの原因で損傷したり失われたりすると、失われた脳細胞が担っていた機能が果たせなくなり、脳の機能に障害が起こります。

脳は部位によって担当している機能が異なります。
たとえば、右足を動かす部位の脳のニューロンが損傷すれば右足が麻痺します。
記憶を新たに作る部位のニューロンが多く失われると、新しい物事を記憶できなくなります。

一般的に一度失われた脳細胞は二度と再生しません。
特定の場所では新たに脳細胞が作られることがわかっていますが、その量は失われた脳細胞を十分に補うほどには多くありません。
いつまでも生き生きと過ごすためには、脳細胞をなるべく減らさないように生活することが重要です。
脳細胞を失った場合でもリハビリを行うことで、残っているニューロンが新たな回路を作り、機能を回復させることはできますが、残っているニューロンが少なくなってしまうと回復も難しくなってしまいます。

脳細胞が失われる主な原因

それでは、どのような原因で脳細胞は失われていくのでしょうか。主な原因を以下に挙げてみました。 

①物理的な損傷

ケガなどで脳の一部に傷がつくと、傷ついた箇所やその周辺の細胞が死んでしまいます。

②血管の障害

脳の中にも血管が張りめぐらされ、脳の細胞に酸素や栄養を運んでいます。
血管が何らかの原因で詰まってしまった場合、血液が届かなくなった部位の脳細胞は死んでしまいます。
脳梗塞は血管が詰まることで脳細胞が壊死する病気です。
詰まった血管の部位によって、損なわれる脳細胞が変わります。
そのため、麻痺やしびれ、視野が欠ける、意識障害、言葉が出てこないなど、損なわれた脳細胞の担当機能に応じて、さまざまな症状が現れます。
また、脳の血管が裂けたり出血したりする「脳出血」でも、脳細胞に障害が起こります。

③血流不足

脳梗塞や脳出血のような重大な血管の障害が起こらなくても、脳へ送られる血流が不足することによって脳細胞がダメージを受ける場合があります。
生活習慣病によって動脈硬化を起こしている場合は、脳のすみずみまで十分な血液が送られにくくなります。
また強いストレスや睡眠不足も短期的に脳への血流を低下させます
2)

④アルコール飲料の摂取

アルコールは脳細胞に害を与えます。アルコール依存症患者や大量飲酒者の脳には、高い割合で、脳細胞が失われて起こる脳の萎縮が見られます3)。
脳にダメージを与えるのは過度のアルコール摂取だけではありません。
1週間あたり350mL入りの缶ビール8~12本程度のアルコール量でも、記憶の形成をつかさどる脳の部位「海馬」の萎縮リスクが、アルコール飲料を飲まない人に比べて約3倍高まるという研究結果もあります4)

⑤病気

アルツハイマー型認知症や、パーキンソン病などは、脳細胞が失われていく病気です。
はっきりとした原因は不明で、遺伝や生活習慣など複数の原因が関わっていると考えられています。
年齢が高くなるほど発症しやすくなるという特徴があります。
現在のところ完治できる治療法はなく、進行を遅らせたり、薬によって機能を補ったりする治療を行います。

脳の健康を保つためにできる生活習慣

脳の健康を保つためには、脳の細胞が減る原因をできるだけ取り除くことが重要です。

  • 頭を打たないようにする
  • 生活習慣を改善して血管の健康を保つ
  • アルコールは控える
  • 寝不足や強いストレスを避ける

また、適度な運動も有効です。運動をすることで血液の流れが改善し、血管や心臓が丈夫になります。
さらに、運動には新たな神経細胞を作る働きを促進させ、ニューロンの栄養となるBDNF(Brain-derived neurotrophic factor、脳由来神経栄養因子)という物質を増やす嬉しい効果も知られています5)

睡眠も脳の健康にとって非常に大切です。
起きている間、脳は休みなく働いていますので、睡眠中は貴重な脳のメンテナンス時間です。
実際に睡眠中に脳の老廃物が排出されるという研究結果があります。
脳の老廃物には、アルツハイマー病の重要な原因物質だと考えられているアミロイドβも含まれています6)

食事やサプリメントで脳の健康をサポートする方法もあります。
三菱ガス化学が開発したBioPQQ®は、摂取することで脳機能を維持する効果が期待される機能性食品素材です。
臨床試験では、健康な中高齢者の短期記憶とワーキングメモリー(得られた視覚情報を短時間で認識し、同時に正しく処理し行動に移す能力)を測定するテストのスコアを向上させることも示されています7)。(参考記事:【研究紹介】BioPQQ®の摂取で脳の機能はどう変わるのか

BioPQQ®は脳のどこに作用するのか

では、BioPQQ®は、ヒトの脳のどういう場所に働きかけて、機能の維持に貢献しているのでしょうか。

第一に考えたいのが、BioPQQ®のミトコンドリアに対する効果です。
BioPQQ®はミトコンドリアの新生や活性化を誘導します。
ミトコンドリアは、細胞が正しく機能するために欠かせないエネルギーを作り出す細胞内器官です。
特に、エネルギーが大量に必要な脳や心臓の細胞には、ミトコンドリアが多く存在していることもわかっています。
BioPQQ®が脳細胞のミトコンドリアを活性化すれば、脳細胞の働きも維持されることが期待できます。

ほかにもBioPQQ®は、次のような効果があることがわかっています。

神経成長因子(NGF)の産生を増やす

NGFの産生はグリア細胞の増殖やニューロンの突起を伸展させます。
PQQをNGFを産生する細胞に投与したところ、投与していなかった場合と比べて、最大で約40倍のNGFが産生されました8)

ニューロンを保護する効果

ヒトの神経細胞に酸化ストレスを与える実験で、BioPQQ®は酸化ストレスを防ぎ、神経細胞の細胞死を防ぐことが報告されました9)

血流を上昇させる効果

 50 ~ 70 歳の合計 20 人の健康な被験者に、BioPQQ® (20 mg) またはプラセボ(偽薬)を 1 日 1 回、12 週間摂取してもらった結果、BioPQQ®を摂取した人たちはプラセボを摂取した人よりも、脳の血液量の指標であるヘモグロビン濃度が増加し、血流が上昇していることがわかりました10)

以上、脳の健康のために必要な基礎知識をお伝えしました。脳の働きは仕事にもプライベートにも大きく関係します。毎日を生き生きと過ごすために、そして将来の脳の健康のために、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

参考

1) 日本生物物理学会
https://www.biophys.jp/highschool/A-08.html

2) 京都大学プレスリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2018-03-09

3) 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと認知症」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html

4) Topiwala A, Allan C L, Valkanova V, Zsoldos E, Filippini N, Sexton C et al. Moderate alcohol consumption as risk factor for adverse brain outcomes and cognitive decline: longitudinal cohort study BMJ 2017; 357 :j2353
https://www.bmj.com/content/357/bmj.j2353

5) ジョンJ. レイティ、エリック・ヘイガーマン『脳を鍛えるには運動しかない 最新科学でわかった脳細胞の増やし方』2009年(NHK出版)

6) Xie L, Kang H, Xu Q, Chen MJ, Liao Y, Thiyagarajan M, O’Donnell J, Christensen DJ, Nicholson C, Iliff JJ, Takano T, Deane R, Nedergaard M. (2013) Sleep drives metabolite clearance from the adult brain. Science. ;342(6156):373-7.

7) 中野昌彦、生方恵佑、山本哲郎、山口英世 (2009) 中高年者の脳機能に対するピロロキノリンキノン(PQQ)の効果. FOOD style21 13, 50-53

8) Yamaguchi K, Sasano A, Urakami T, Tsuji T, Kondo K (1993) Stimulation of nerve growth factor production by pyrroloquinoline quinone and its derivatives in vitro and in vivo. Biosci Biotech Biochem 57, 1231-1233.

9) Nunome K, Miyazaki S, Nakano M, Iguchi-Ariga S, Ariga H (2008) Pyrroloquinoline quinone prevents oxidative stress-induced neuronal death probably through changes in oxidative status of DJ-1. Biol Pharma Bull 31(7), 1321-1326.

10) Nakano M, Murayama Y, Hu L, Ikemoto K, Uetake T, Sakatani K. (2016) Effects of Antioxidant Supplements (BioPQQ™) on Cerebral Blood Flow and Oxygen Metabolism in the Prefrontal Cortex. Adv Exp Med Biol. 2016;923:215-222.

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