PQQコラム

BioPQQ®とNMNの違いと共通点

健康情報やサプリメントに関心のある方なら、「NMN」という物質名を目にしたことがあるかもしれません。NMNは、サプリメントとして摂取することで、アンチエイジングが期待されている食品です。一方、BioPQQ®もミトコンドリアの新生を助けることで、アンチエイジングに役に立つと考えられています。BioPQQ®とNMNの働きは、どう違うのでしょうか。今回は2つの物質について、違いと共通点をご紹介します。

どれだけ飲めば効果があるのか

NMNは「ニコチンアミドモノヌクレオチド」という名前の物質です。実験によって、NMNがマウスの加齢に伴う体重増加を抑制すること1)や、2型糖尿病モデルマウスの症状を改善する効果2)が示されています。

人に対する効果も調べられています。協力者に1日あたり100mg、250mg、500mgを摂取してもらって安全性を確かめた研究3)や、1日250mgのNMNを摂取してもらうことで、糖尿病予備軍の人のインスリン感受性を改善させた研究4)も発表されました。

ただ、NMNの人での効果を検証したデータはまだ少ないのが現状です。本当に老化の予防に効果がある量がどのくらいなのかは、わかっていません。NMNを配合したサプリの含有量はさまざまですが、臨床試験で使われる100~200mgを1日あたりの摂取量として勧められている製品が多いようです。

NMNと同様にアンチエイジングが期待できるBioPQQ®の摂取量を見てみましょう。

 BioPQQ®を人に飲んでもらう試験では、1日あたり20mg、60mg、100mgの摂取で安全性に問題がないことが認められました5)。また、健康に対する効果を確かめる試験では、1日あたり20mgの摂取で、脳機能の改善や、疲労、抑うつ、緊張などのネガティブな気分の改善が認められました5)6)7)。BioPQQ®は、NMNに比べて、とても少ない量で効果が期待できることがわかっているのです。

BioPQQ®と NMNは、どちらもNAD+を増やす

BioPQQ®と NMNは、どのようなメカニズムでアンチエイジングに効果をあらわすのでしょうか。

その鍵を握るのが「サーチュイン遺伝子」です。サーチュイン遺伝子は、老化や寿命の制御に重要な働きをしている遺伝子で、別名「長寿遺伝子」と呼ばれています。そして、「サーチュイン遺伝子」が活性化すると、最終的にミトコンドリアの新生につながることが分かっています8)

サーチュイン遺伝子が働くためには、「NAD+」という物質が必要です。NAD+は体内で作られますが、加齢とともに作られる量が減ってしまいます9)。NMNはNAD+の材料となり、摂取すると体内でNAD+に変換されます。加齢によって不足してくるNAD+を補うことができるのです。ちなみに、NAD+自体を直接サプリとして飲んでも、細胞内に吸収されません10)

実は、BioPQQ®も体内のNAD+を増やすことがわかっています。ただし、NAD+を増やす経路は、NMNとは異なります。NAD+は体の中で仕事をするとNADHという物質になります。BioPQQ®はNADHがNAD+に戻る反応を助け、細胞全体のNAD+の割合を増やします。増えたNAD+がサーチュイン遺伝子を活性化させ、細胞の中にあるミトコンドリアが新たに作りだされるのです。

細胞レベルではBioPQQ®はNMNの5000分の1の量で効く

細胞を使った実験では、BioPQQ®とNMNにも、NAD+を増やす効果が確認されています11)

Saihara K. et al. Biochemistry 56, 6615–6625(2017)より作図

*マークが頭についている棒グラフは、偶然の差ではなく意味のある差でNAD+が増加したことを表しています。これを見ると、NMNではNAD+を増加させるのに100 μMが必要でしたが、BioPQQ®では0.05 μMと0.1 μMというわずかな量で細胞中のNAD+を増やしたことがわかります。

さらに、ミトコンドリアに対する効果も同様の濃度の違いがあります12)

下の写真は細胞内のミトコンドリアを緑色の蛍光色素で染めたものです。BioPQQ®を細胞に与えると、緑色が強く光っています。これは細胞内でミトコンドリアの活性化が起きたことを意味します。写真の下のグラフの縦軸は、BioPQQ®を与えないときと比べて緑色がどのくらい強く光っているのかを測定したもので、ミトコンドリアの新生が起きている量の指標になります。この実験から、0.01 μM のBioPQQ®を細胞に与えるとミトコンドリアの活性化が十分に起こることが証明されました。

NMNでも同様の実験を行ったところ、ミトコンドリアの活性化は起きるものの、50μMや100μMの濃度のNMNが必要であることが示されました。

Saihara K. et al. Biochemistry 56, 6615–6625(2017)より作図

この結果から、BioPQQ®はNMNの5000分の1の量でミトコンドリアを活性化することがわかります。これは細胞で行われた実験なので、人の試験に比べると量はかなり少ないですが、細胞レベルでも、BioPQQ®と NMNの効く量には大きな差があるのです。

ミトコンドリアの活性化以外にも、体にとって有害な活性酸素の働きを抑える等、BioPQQ®の健康に対する効果が報告されています12)。ぜひ、BioPQQ®のさまざまな働きに注目してみてください。

参考文献

1) Mills,K. et al.(2016) Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice Cell Metabolism 24(6)

2) Yoshino J. et al., (2011) Nicotinamide mononucleotide, a key NAD(+) intermediate, treats the pathophysiology of diet- and age-induced diabetes in mice Cell Metabolism 14(4)

3) Irie J. et.al., (2020) Effect of oral administration of nicotinamide mononucleotide on clinical parameters and nicotinamide metabolite levels in healthy Japanese men Endocrine J vol.67

4) Yoshino M. et al (2021) Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women Science vol.372, No. 6547

5) 中野昌彦、生方恵佑、山本哲郎、山口英世 (2009) 中高年者の脳機能に対するピロロキノリンキノン(PQQ)の効果. FOOD style21 13, 50-53

6) 林裕子、木島輝美、佐藤和彦、村上新治 (2011) タッチパネルを用いた視空間認知機能の評価方法の検討. 老年精神医学雑誌 22(4): 439-447

7) Nakano M, Yamamoto T, Okamura H, Tsuda A, Kowatari Y (2012) Effects of Oral Supplementation with Pyrroloquinoline Quinone on Stress, Fatigue, and Sleep. Functional Foods in Health and Disease 2012, 2(8):307-324

8) Carles Cantó et al (2015) NAD+ Metabolism and the Control of Energy Homeostasis: A Balancing Act between Mitochondria and the Nucleus Cell Metabolism vol. 22, Issue 1, p31–53

9) Massudi H. et al (2012) Age-associated changes in oxidative stress and NAD+ metabolism in human tissue. PLoS ONE. 7: e42357

10) 今井眞一郎(2021)「開かれたパンドラの箱 老化・寿命研究の最前線」(朝日新聞出版)

11) Saihara K, Kamikubo R, Ikemoto K, Uchida K, Akagawa M. (2017) Pyrroloquinoline Quinone, a Redox-Active o-Quinone, Stimulates Mitochondrial Biogenesis by Activating the SIRT1/PGC-1α Signaling Pathway Biochemistry 56, 6615–6625

12) Jonscher KR, Chowanadisai W, Rucker RB (2021)  Pyrroloquinoline-Quinone Is More Than an Antioxidant: A Vitamin-like Accessory Factor Important in Health and Disease Prevention. Biomolecules;11(10):1441.

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