PQQコラム

健康食品素材はどう作られる? 植物抽出・化学合成・微生物生産の違いを解説


食品の中には、ビタミン、アミノ酸、ポリフェノール、乳酸菌由来成分など、さまざまな健康維持に役立つ成分が含まれています。私たちは本来、こうした成分を食事から摂取してきました。しかし近年では、機能性成分を抽出・精製したり、微生物や化学反応を利用して生産したりすることで、サプリメントや健康食品素材としても活用されています。 

では、こうした健康食品素材は、どのように作られているのでしょうか。また、製造方法の違いにはどのような特徴があるのでしょうか。このコラムでは、健康食品素材の代表的な製造方法とその特徴を紹介します。

1. 健康食品素材の代表的な製造方法3つ

健康食品素材の製造方法にはさまざまなものがありますが、代表的な方法は大きく分けると「植物から抽出」「化学合成」「微生物生産」の3つです。

植物から抽出

もっともイメージしやすいのが、植物などから成分を取り出す方法でしょう。例えば、緑茶からカテキン、大豆からイソフラボン、ウコンからクルクミンを抽出するといった方法があります。こうして得られた成分は、緑茶エキスやウコンエキスなどの健康食品素材として、サプリメントや飲料などに利用されています。

植物からの抽出は古くから利用されている製造法で、「天然由来」のイメージから健康食品素材としても広く使われています。原料となる植物の多くは、食品として長い食経験があることも特徴です。

ただし、天然の植物が原料であっても、健康食品素材は特定成分を抽出・濃縮して作られることが多いため、食品として食べる場合とは成分の濃度やバランスが異なることがあります。さらに、天然素材には目的外の成分も含まれているため、抽出方法によっては、それらも一緒に濃縮される場合もあります。

製造面では、植物中にごく微量しか存在しない成分は多くの原料が必要になり、大量生産が難しい場合もあります。また、天候や産地によって成分量が変動することもあります。さらに、抽出・精製コストがかかることから、近年では別の製造法も活用されるようになっています。

代表例:カテキン、イソフラボン、クルクミンなど 

化学合成

化学反応を利用して目的成分を作る方法です。小さな分子を段階的に組み合わせながら、目的の成分を作っていきます。医薬品だけでなく、ビタミン類など、一部の健康食品素材でも広く利用されています。

植物から抽出する場合と比べて、高純度で安定した品質を得やすく、大量生産をしやすいという長所があります。このため、コストを下げる効果が期待できます。

一方で、製造工程で使用した化学薬品が残留してしまうリスクがあります。また、複雑な天然由来成分の中には、化学合成だけでは効率的に作ることが難しいものもあります。そのような成分は、次で紹介するような微生物の力を借りて生産される場合があります。 

代表例:ビタミンC、ビタミンE、タウリンなど(天然抽出されるものもあります)

微生物生産

私たちは昔から微生物の力を利用してきました。例えば、お酒やヨーグルト、味噌などの発酵食品ができるのも、酵母や乳酸菌などの微生物が働いているからです。健康食品素材の微生物生産も、基本的にはこうした発酵技術の延長線上にある「バイオものづくり」の一種です。

生物の細胞は、体内で複雑な分子を作り出す仕組みを持っています。微生物生産では、その働きを利用して、健康食品素材や機能性成分を効率よく生産します。近年は、発酵技術やバイオテクノロジーの発展によって、微生物を利用した健康食品素材の開発が広がっています。

製品によっては微生物そのものを利用する場合もありますが、多くは微生物が作り出した成分だけを精製・回収して利用しています。

代表例:アミノ酸、CoQ10、BioPQQ、乳酸菌・酵母由来成分など

以上の主流の方法に加えて、最近では次のような方法も注目されています。

動物由来素材

動物の体の一部や組織から成分を取り出して利用する方法です。例えば、豚や馬などの胎盤から抽出されるプラセンタや、魚由来のコラーゲンなどがあります。

微細藻類

微細藻類を利用した健康食品も増えています。例えば、ユーグレナ(ミドリムシ)やスピルリナ、クロレラなどが知られています。

これらはビタミン、アミノ酸、脂質などを豊富に含み、微細藻類そのものを粉末化して食品として利用するケースも多いのが特徴です。また、一部の微細藻類はDHA・EPAやアスタキサンチンなどの機能性成分の生産にも利用されています。

2.天然と化学合成と微生物生産のどれが安全なのか

健康食品素材について、「天然由来のほうが安全そう」「化学合成は人工的で不安」と感じる人もいるかもしれません。しかし実際には、製造方法だけで安全性を単純に判断することはできません。

植物から抽出する場合は、目的成分以外の植物由来成分が一緒に含まれることがあります。化学合成では、反応の途中で別の物質(副生成物)が生じる可能性があります。微生物生産でも、培養条件や精製工程によって品質に影響が出ることがあります。

そのため、どの製造方法でも重要なのは、不要な成分を適切に取り除き、品質を安定して管理することです。健康食品素材の製造では、目的成分を精製する工程だけでなく、原料や製造環境、最終製品の品質まで含めて管理が行われています。その上で、品質検査によって安全性や純度を確認しています。

健康食品素材やサプリメントの製造では、GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)と呼ばれる品質管理基準が設けられています。GMPは単なる製品の検査基準ではなく、安全な製品を安定して作れる工場・設備・運用になっているかを管理する仕組みです。そのため、GMPでは、製品そのものの検査だけでなく、工場の衛生環境や製造設備、作業手順、記録管理なども含めて管理が行われています。

参考記事:より安全になったサプリメントの製造基準―GMPが「推奨」から「義務化」に強化

つまり、「天然」「合成」「発酵」という言葉だけで安全性を判断するのではなく、GMP認証の有無など、どのような基準で製造・品質管理されているかを見ることが大切なのです。

3.微生物を活用した三菱ガス化学の健康食品素材

ここまで紹介してきたように、健康食品素材にはさまざまな製造方法があります。その中で、三菱ガス化学(MGC)が力を入れているのが、微生物の働きを利用した「微生物生産」です。

MGCでは、化学メーカーとして多様な原料を扱う中で、微生物の働きを利用して有用物質を生産する「バイオものづくり」の技術を発展させてきました。 その応用先の一つとして健康食品素材の開発・生産を行っています。

酵母・乳酸菌由来素材

酵母は、パンや日本酒づくりにも使われてきた身近な微生物です。また、乳酸菌は、ヨーグルトや漬物などの発酵食品でも知られる微生物です。MGCでは、酵母や乳酸菌の持つ働きを活用した健康食品素材を展開しています。

  • 清酒酵母GSP6株……深い眠りを導き睡眠の質をサポート
  • 清酒酵母エリオン®SP……オートファジー、タンパク合成を助ける抗老化素材
  • 清酒酵母エリオン®SA……関節炎・肝機能をサポート
  • リブオーレ®乳酸菌……免疫機能を強化しウイルスから身を守る

参考サイト:三菱ガス化学 酵母・乳酸菌専門サイト

BioPQQ®

MGCの代表的な健康食品素材の1つ「BioPQQ®」も微生物によって生産されています。ミトコンドリアの働きを助けるPQQ(ピロロキノリンキノン)は、さまざまな食品に含まれていますが、その量はごくわずかで、食品から効率よく取り出し利用することは容易ではありません。

参考記事:体内で作り出せない重要な栄養素「PQQ」の役割とは

そこでMGCでは、微生物を衛生的に管理された環境で培養し、そこから目的成分を精製することで、高品質なPQQ原料を安定的に供給しています。

4.製造方法だけでなく、「どう管理されているか」が重要 

以上、健康食品素材の製造方法をいろいろ見てきました。

健康食品を選ぶ際には、「天然だから安全」「人工的だから危険」といったイメージだけではなく、どのような企業が、どのような基準で製造しているかを見ることが大切です。また、最終製品が安全に管理されているかどうかだけでなく、原材料の安全性も重要です。

MGCの健康食品素材は、国際的な食品安全規格であるFSSC22000の要求事項を踏まえた管理体制のもと、発酵条件を厳密に管理しながら国内工場で生産されています。さらに、BioPQQ®を製造する工場は、原材料GMP認証を取得しています。健康食品を開発する事業者にとって、品質管理面でも利用しやすい体制が整えられています。

MGCの健康食品素材について興味のある方は、各製品ラインナップもぜひチェックしてみてください。

関連リンク

BioPQQ 製品ページ
三菱ガス化学 酵母・乳酸菌専門サイト

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