PQQコラム

【研究紹介】「疲労」と「睡眠」に対するPQQの効果

いつも疲れていて、なかなか回復できない。そんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
疲れをとるためには良質な睡眠が重要です。

しかし、厚生労働省の2019年の「国民健康・栄養調査」によると、1日の平均睡眠時間が、6時間未満が男性で37.5%、女性で40.6%もいて、充分な睡眠時間を確保できない現代人の実態が浮かび上がっています。

三菱ガス化学が開発したPQQの食品素材「BioPQQ®」は脳の健康を維持し、エネルギーを生み出すミトコンドリアを活性化しますが、三菱ガス化学のさらなる研究によって、疲労や睡眠の質の改善に対してもBioPQQ®がサポートできる可能性が見えてきました。

この記事では、オフィスワーカーにBioPQQ®を摂取してもらった臨床試験の結果をご紹介します。

脳と疲労の深い関係1)

疲労と聞くと、負荷のかかる運動をしたり長時間歩き回ったりしたことからくる肉体的の疲労を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、疲労の原因には精神的活動、すなわちデスクワークで頭を使うことや人間関係から生じるストレス、過度のプレッシャーなどの精神的な負荷も含まれます。

肉体や精神に負荷のかかる作業を連続して行うと、体や精神のパフォーマンスが低下します。これが疲労の状態です。
長い時間、頑張り続けたせいで、動きが鈍くなったり、思考力が衰えたりしたことは、誰しも経験があるのではないでしょうか。

疲労は生命と健康を維持するために重要な信号です。
心身の負荷が大きくなると、脳は疲労を感じとります。
そして、「休め」という指令を出し、私たちの活動を休止させるよう働きかけて疲労回復を促します2)

疲れた脳や体を回復するには、質のよい睡眠をとり、しっかりと休養することが必要です。
しかし、現実的にはなかなか簡単には休めない実情があります。

冒頭で平均睡眠時間が6時間未満の人が男性で37.5%、女性で40.6%いるという結果をご紹介しましたが、さらに、睡眠の質については男女ともに20~50歳代で「日中、眠気を感じた」と答えた人が最も高い割合を占めました3)
適切な睡眠時間は個人差があるため、一概に時間だけで睡眠の質を測ることはできませんが、日中に眠気を感じる状態は十分な睡眠を取れているとはいえません。

三菱ガス化学では、BioPQQ®のさらなる可能性を求めて、日々研究を続けています。
疲労や睡眠は脳機能と深い関連があることから、BioPQQ®が疲労や睡眠の質にどのような影響を与えるのかを調べてみました。

BioPQQ®の摂取で、オフィスワーカーの疲労が改善4)

研究に参加してもらった人たちは疲労や睡眠障害のあるフルタイム勤務のオフィスワーカーで、平均年齢は38.1歳です。参加者には1日20mgのBioPQQ®を8週間にわたり摂取してもらいました。

参加者の変化を知るため、精神科の臨床現場でも使用されている「Profile of Mood States-Short Form(POMS-S)」という、アンケート形式の検査ツールを使用しました。POMS-Sでは、参加者の方に、「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」「活気」「疲労」「混乱」の6つの要素についての30の質問に答えてもらいます。

参加者は各質問に対して、過去7日間にその気分がどの程度あったかを、「全くなかった」(0点)から「非常に多くあった」(4点)までの5つの選択肢から1つを選んでチェックします。

この結果を示したのが次の図です。

BioPQQ®を摂取する前に比べ、8週間摂取した後は、「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」「疲労」「混乱」のTスコア(偏差値)が低下し、「活気」のTスコアは上昇していました。

この結果から、BioPQQ®の摂取がネガティブな精神状態を軽減し、疲労を緩和し、また活力の上昇につながる可能性が示されました。

BioPQQ®の摂取で、オフィスワーカーの睡眠の質が改善

疲労感の回復の鍵になるのが睡眠の質です。
前述したBioPQQ®の摂取による精神状態への効果を調べた参加者に対して、睡眠の質に対するBioPQQ®の効果も調べました。

評価の方法は、睡眠の研究でよく用いられる「OSA睡眠調査票MA版(OSA-MA)」と呼ばれるアンケート調査です。

研究の参加者には、

  1. 起床時の眠気
  2. 入眠と睡眠維持
  3. 夢み(悪夢を見たかどうか)
  4. 疲労回復
  5. 睡眠時間

5つの因子についての計16の質問のアンケートを、朝起きてすぐに答えてもらいました。
各質問に対して4段階から最適な回答を選択してもらいます。スコアが高いほど睡眠が良好であることを意味します。

結果は次の通りです。

BioPQQ®の摂取を続けることによって、①起床時の眠気、②入眠と睡眠維持、④疲労回復、⑤睡眠時間 が改善されていく様子が観察されました。

さらに睡眠の質について、「ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQI-J)」と呼ばれる別の調査も行いました。
PSQI-Jは、アメリカで開発された睡眠の質を測定するためのアンケートの日本版です。
18問の質問があり、その内容は「睡眠の質」、「入眠時間」、「睡眠時間」、「睡眠効率」、「睡眠障害」、「睡眠薬の使用」、「日常生活における過度の眠気」の7つの要素から成ります。

睡眠時間は実際に眠っていた時間ですが、それに対して睡眠効率というのは、実際に眠っている時間を寝床に入っている時間で割ったものに100をかけて算出します。
横になったのにいつまでも眠れない場合、睡眠効率は低く算出されます。

各要素に0〜3点の点数が設定されており、合計を0〜21点として、スコアが高いほど睡眠の状態が悪く、6点以上であれば睡眠障害と考えられます。
逆に点数が下がっていく場合は、睡眠状態が改善されていることを意味します。

結果は次の図のとおりです。

PSQI-Jの総スコアは、BioPQQ®を8週間摂取したあとに、試験開始時の10.0±1.9 点から6.4±2.0点に改善しました。

また、「睡眠の質」や「入眠時間」、「睡眠時間」、「日常生活における過度の眠気」などの要素も同様に摂取期間に応じて改善していました。

OSA-MAとPSQI-Jという異なる評価方法で、いずれも睡眠の質が改善されることが示されました。
これらのデータから、BioPQQ®の摂取は疲労や睡眠の質を改善することが示唆されます。

メカニズムの解明へ向け研究を進めています

今回ご紹介した試験は、参加者も試験実施者もBioPQQ®を摂取していることをわかっている「オープン試験」という手法で実施したものです。
今後、研究を深めていくための予備的な試験ですが、多くの現代人が抱える疲労や睡眠の質に対してもBioPQQ®が有効である可能性が示された興味深い結果となりました。

今回の試験結果が、BioPQQ®のミトコンドリアや脳への作用とどう関連しているのかは、まだわかっていません。
三菱ガス化学はBioPQQ®のメカニズムや機能の解明へ向けて、さらに研究を進めています。

参考

1) 梶本修身『すべての疲労は脳が原因』2016年(集英社)

2) 渡辺恭良.疲労の科学・脳科学と抗疲労製品の開発.日本生物学的精神医学会誌.2013 年 24 巻 4 号 p. 200-210
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbpjjpp/24/4/24_200/_pdf

3) 厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

4) Nakano M, Yamamoto T, Okamura H, Tsuda A, Kowatari Y (2012) Effects of Oral Supplementation with Pyrroloquinoline Quinone on Stress, Fatigue, and Sleep. Functional Foods in Health and Disease 2012, 2(8):307-324
http://functionalfoodscenter.net/files/56592277.pdf

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